安倍首相「海自の給油活動継続できねば退陣」
安倍晋三首相は9日午後、シドニーで内外記者会見を行い、インド洋での海上自衛隊の給油活動継続について「民主党をはじめ野党の理解を得るため職を賭して取り組んでいく」と述べた。
この際、首相は、給油活動が継続できなれば「私の職責にしがみつくことはない」と述べ、退陣する意向を表明した。
安倍晋三首相は8日午後、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため訪れているシドニー市内で同行記者団と懇談し、テロ対策特別措置法に基づくインド洋での海上自衛隊の給油活動継続について、「どう法的担保にしていくかは工夫の余地がある」と述べた。参院第一党となった民主党が、11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法の延長に反対する中、同党の意見にも配慮した新法案提出に含みを持たせた。
首相は海自の活動継続について「対米というよりも対外的な公約で私の責任は重い。約束を果たすためにはすべての力を出し切らなければいけない」と決意を表明。「民主党ともできる限り話し合いたい。あらゆる可能性を考えなければならない」と述べた。
テロ特措法の期限が切れれば、海自の活動は根拠を失い、撤退を余儀なくされる。政府・与党内では活動停止期間を最短に抑えるため、国会による事前承認や民生支援などを重視する民主党に配慮した新法案の早期提出を模索する動きが強まっている。
民主党の小沢一郎代表は国連決議に基づくISAF(国際治安支援部隊)への協力には柔軟な姿勢を示している。しかし、首相は「海上での給油活動が、(多国籍軍による)海上阻止活動の不可欠の要素となっている。そこは維持したい」と難色を示した。
また、首相は民主党などの反対で活動継続が実現できなかった場合、衆院解散に踏み切る可能性は「まったく考えていない」と述べた。